決勝レースがスタートするのはPM2:00。まだ時間がありますが、その間、コースでは、Proton
Satriaのレース、マレーシアの民族衣装での仮装大会など沢山の催し物が行われます。
左の写真は消防隊の行進、右の写真は鼓笛隊のパレード。他にも、マレーシア空軍のパラシュート部隊が空から降りてきたり、F-18戦闘機のアクロバット。因みに、時速2,100kmとの事で、F1の7倍のスピードであると強調してました。
何だか不思議なクルマのリアゲートが、火花と水蒸気を吹きながら開きました。いよいよ、マハティール首相による開会宣言らしいです。尚、中にはマレーシアカラーのフォーミュラーカーが入ってました。
下の写真は、ヴィンテージカーに乗ってのF1ドライバーの行進。何と、先頭のクルマには、マハティール首相が乗っていました。(う〜ん、金網が邪魔だ〜っ)
マハティール首相 | シューマッハーとアーバイン | 高木の虎ちゃんも健在です。 |
さて、いよいよ決勝レースのスタートが近づいてきています。フェラーリのピットも最後の調整に余念がありません。今のところ、マシーンのセッティングは万全。予選で1位・2位を独占したのは伊達ではありません。でも、脚を骨折して暫く休んでいたシューマッハー、復帰第1戦でポールをとるところなんか、本当に凄いです。
ところで、レースといえばやはりレース・クィーン。ハイレグで日傘を持ってドライバーの横に立っているのが我々の一般的なイメージですが、マレーシア=イスラム教徒が多いという配慮からか、レース・クィーン(ここでは「グランプリ・ガール」と呼ぶらしい)は肌の露出がとっても少ないコスチュームです。ちょっとガッカリ・・・
場内には大型スクリーンが数カ所設置されていて、レースの状況が判ります。ところで、スクリーンの向こうに見えるスタンド、空席が目立つのですが、、、。やはりマレーシアの人達にとっては高価な入場料なので、あまり来ないのかな?因みに、この日の観客は8万人だったとのこと。
さて、いよいよ決勝レーススタートの2:00が近づいてきました。我々のスタンドの人達も立ち上がって、その瞬間を今か今かと待ち望んでいます。パドック上のVIPの人達も、みな屋上の手すりに集まってスタートラインを凝視しています。盛り上がってきました。。。
マレーシア時間の2:00ちょうど、いよいよ東南アジア初開催となるマレーシアGPのスタートです。心配していた天気も大丈夫。路面温度は早くも44度。フォーメーションラップが始まったが、プロストチームのトゥルーリは、押し戻されてピットスタートです。スターティンググリッドにマシーンが勢揃いし、グリーンフラッグが振られました。シグナルのが赤から青に変わって、レースがスタート!!
(左の画像をクリックすると、スタートシーンのムービーが見られます。サイズが1MBとちょっと大きいですが、ダウンロードまでちょっと辛抱して下さいね。尚、ムービーを再生するには、QuickTimeが必要です。)
以下、Niftyserveのモータースポーツフォーラムの実況より。
ラスト1週、フェラーリのピット内の人達全員が、勝者を迎えるためにピットを飛び出してきました。そのまま1・2体制でチェッカーフラッグを受けました。
結局、フェラーリがポール・トゥ・ウィンで優勝してマハティール首相から優勝カップを受け取りました。。。と、ここまでは良かったのですが、この後、とんでもない展開に。。。今回のレースの最終結果は以下の通り。ん?、何でフェラーリがいないんだって? このページの最後の方をお読み下さい。
※注意:その後、結局、国際自動車連盟は23日、フェラーリ・チームからの抗議が正当と認められ、フェラーリの2台の失格は取り下げられました。詳細はこちら。
P | No. | Driver | Car | Lap | GoalTime | km/h |
1 | 1 | M.ハッキネン (FIN) | McLaren Mercedes | 56 | 1:36'48.237 | 192.576 |
2 | 17 | J.ハーバート (GBR) | Stewart Ford | 56 | - 7.795 | 192.309 |
3 | 16 | R.バリチェッロ (BRA) | Stewart Ford | 56 | - 22.553 | 191.823 |
4 | 8 | HH.フレンツェン(GER) | Jordan Mugen-Honda | 56 | - 25.141 | 191.737 |
5 | 11 | J.アレジ (FRA) | Sauber Petronas | 56 | - 44.665 | 191.098 |
6 | 10 | A.ブルツ (GER) | Benetton Playlife | 56 | - 51.191 | 190.885 |
7 | 21 | M.ヘネ (ESP) | Minardi Ford | 55 | - 1Lap | |
8 | 5 | A.ザナルディ (ITA) | Williams Supertech | 55 | - 1Lap | |
9 | 9 | G.フィジケーラ (ITA) | Benetton Playlife | 52 | - 4Laps | |
DNC | ||||||
22 | J.ビルニューブ (CDN) | BAR Supertech | 48 | - 8Laps | ギヤボックス | |
12 | P.ディニス (BRA) | Sauber Petronas | 44 | - 12Laps | スピンアウト | |
14 | P.デ・ラ・ロサ (ESP) | Arrows | 30 | - 26Laps | エンジン | |
20 | L.バドエル (ITA) | Minardi Ford | 15 | - 41Laps | エンジン | |
2 | D.クルサード (GBR) | McLaren Mercedes | 14 | - 42Laps | エンジン | |
6 | R.シューマッハ (GER) | Williams Supertech | 9 | - 47Laps | スピンアウト | |
15 | 高木 虎之介 (JPN) | Arrows | 7 | - 49Laps | ドライブシャフト | |
23 | R.ツォンタ (BRA) | BAR Supertech | 7 | - 49Laps | スピンアウト | |
18 | O.パニス (FRA) | Prost Peugeot | 7 | - 49Laps | エンジン | |
7 | D.ヒル(GBR) | Jordan Mugen-Honda | 0 | - 56Laps | 接触(フィジケーラ) | |
19 | J.トゥルーリ (ITA) | Prost Peugeot | 0 | - 56Laps | エンジン DNS | |
4 | E.アーバイン (GBR) | Ferrari | 56 | 失格 | ||
3 | M.シューマッハ (GER) | Ferrari | 56 | 失格 |
* Fastest LapTime : 1'40.631 (191.530km/h) HH.フレンツェン On 53/56
Lap
* 失格したフェラーリはFIAに提訴中
☆ファステストラップ
HH.フレンツェン | 1'40.631 (191.530km/h) | On 53/56 Lap |
☆ラップリーダー
1〜 3 | シューマッハ |
4〜25 | アーバイン |
26〜28 | シューマッハ |
29〜41 | アーバイン |
42〜52 | シューマッハ |
53〜56 | アーバイン |
☆F1世界選手権ポイント
*ドライバーズ部門
1 | ハッキネン | 72 |
2 | アーバイン | 60 |
3 | フレンツェン | 53 |
4 | クルサード | 48 |
5 | R.シューマッハ | 33 |
6 | M.シューマッハ | 32 |
7 | バリチェッロ | 23 |
8 | ハーバート | 18 |
9 | フィジケーラ | 13 |
10 | サロ | 10 |
11 | トゥルーリ | 7 |
11 | ヒル | 7 |
13 | ブルツ | 4 |
14 | アレジ | 3 |
14 | ディニス | 3 |
16 | パニス | 2 |
17 | デ・ラ・ロサ | 1 |
17 | ヘネ | 1 |
*コンストラクターズ部門
1 | マクラーレン | 120 |
2 | フェラーリ | 102 |
3 | ジョーダン | 60 |
4 | スチュワート | 41 |
5 | ウイリアムズ | 33 |
6 | ベネトン | 17 |
7 | プロスト | 9 |
8 | ザウバー | 6 |
9 | ミナルディ | 1 |
9 | アロウズ | 1 |
以下、Niftyserveのモータースポーツフォーラムより
速報その1
速報その2
[訳注:このコメントは失格の裁定が出る前のものです]
●スクーデリア・フェラーリ
★ジャン・トッド
★エディ・アーバイン
★ミハエル・シューマッハ
●マクラーレン・メルセデス
★ミカ・ハッキネン
★ロン・デニス
予選: 10月16日/曇
決勝: 10月17日/晴
サーキット: マレーシア・クアラルンプール市郊外セパン・サーキット
距離: 5.542km×56周=310.352km
高木虎之介、激走を見せ予選22位から3周目には13位へジャンプアップ!しかし、ドライブシャフト破損で痛恨のリタイヤ!
マレーシアへは早めに移動!
ヨーロッパGPを終えて、今期のヨーロッパでの活動を全て終えた高木虎之介はいったん本拠であるロンドンに戻り、9月30日には日本へ向けてヨーロッパを後にした。高木にとっては開幕戦オーストラリアGPの直後に日本を経由してロンドンに戻って以来、約半年ぶりの帰国となる。マレーシアと日本の時差が1時間であることから、日本GPへ向けた取材活動と時差調整のための早期帰国となった。この間、チームメートのペドロ・デ・ラ・ロサ選手が10月4日〜5日に、サンタポッド・ドラッグレーシングコースでマレーシアGP用のレース車両3台をシェイクダウンして、レースに備えた。アロウズ・グランプリは、10月6日〜8日に行われたスペインのバルセロナ・サーキットでの合同テストには参加しておらず、他チームがテストしたマレーシアGP用の「エクストラ・ソフト」タイヤのデータが少ないというハンディキャップを負ってのマレーシアGPとなった。高木は、高温多湿のクアラルンプールに慣れるため、通常よりも早い10月12日の火曜日に現地入りした。
マレーシアは誰にとっても初めてのサーキット!
金曜日のフリー・プラクティスは、高木は午前、午後ともにレースを想定して燃料を多めに搭載したセッティングに集中する。ドライ用タイヤは、頻繁にはレースが行われていない路面のためにグリップしないことを想定して、ブリヂストンが持ち込んだ2種類のタイヤの中からラップタイムを追うよりも、コースに慣れるため距離を長く走れる固めの「ソフト」タイヤをチョイスした。路面は朝方の降雨のためにウェットであり、そのソフトタイヤも路面が乾いてくるまでは使えないという状態であった。レース直前の合同テストに参加しておらず、本命の「エクストラ・ソフト」タイヤの走行データが他チームと比べて不足していることが、やはり、大きなハンディキャップであることは否めない。ソフトタイヤでコース習熟に努める一方で、エクストラ・ソフトでのデータが回収できないという厳しい実状に直面してはいる。が、その一方で、セパン・サーキットを走るのは誰にとっても初めてということから、現在のアロウズA20の最も大きな欠点のひとつであるオーバーステア傾向は、顕著にはタイム差となっては現れず、チームメートのペドロ・デ・ラ・ロサ選手と揃ってタイム的には直接のライバルとなるミナルディ勢ともラップタイム的には大きな差は開かなかった。
高木は、路面がドライとなった午後のセッションでも1セット目のタイヤを使用し続けタイムアタックを行うが、2セット目のタイヤにエクストラ・ソフトを使用してタイムアタックしたロサ選手からはベストタイムで約1.3秒程遅れてしまう。「エクストラ・ソフト」タイヤは、計測1周目以降は、大きくパフォーマンスが低下して、計測2周目以降は、1秒近くラップタイムが落ちるという特性を持っているが、前述のように、その特性データがチームに無いのが痛いところではある。少なくとも、高木に関しては、ラップタイムこそ奮わなかったものの、メカニカルトラブルが全く発生せず、とりあえずはプラン通りに走行データ収集を完了して1日の走行を終えることになった。
予選がセッティング作業に!
高木は、土曜日午前の1回目のプラクティスにおいて、前日のデータを元に、さらに微調整を施したサスペンション・セッティングをトライし、バランスを大幅に向上させると、初日に使用した中古タイヤでありながら、大きくラップタイムを向上させることに成功する。2回目のプラクティスでは2セット目のタイヤに本命のエクストラ・ソフトタイヤを投入して、予選シミュレーションのタイムアタックを行う。が、ここで、エンジン・トラブルが発生して、残りの約35分を走行できなくなってしまう。この35分のロスタイムの間に、路面の状況、そして他のドライバーのラップタイムが飛躍的に向上し、高木のセッティングは全く進まないままに予選に臨まねばならなくなってしまう。しかも、予選用に搭載することになったエンジンは、本来はレース用に使用する予定のもので、エンジン特性のスペックが違う。つまり、高木は予選を全くセッティングを0の状態から行わなければならなかったというわけだ。予選開始直後、高木はすぐにコースインし、とりあえず1計測を行い未知のセッティングをチェックする。当然ラップタイムは遅く、その後、調整を進めながら、残る3回のタイムアタックを続行するが、自己ベストのタイムは午前中の中古タイヤでマークしたタイムからわずかに0.3秒しか更新できないという状態で22番手の予選順位が決定することになる。
ポールポジションは、イギリスGPのレース中のクラッシュで足を骨折して休場していたフェラーリのミハエル・シューマッハ選手が復帰委第1戦にして獲得という驚きのパフォーマンスで貫禄を見せつけると共に、2番手には僚友のエディ・アーバイン選手が続いて、フェラーリがタイトル争いを決して諦めていないということを印象づけた。3番手はマクラーレンのデイビッド・クルザード選手が入った。
ウォームアップでセッティングを進める!
レース当日のウォーミングアップセッションは、心配された雨の影響もなく、ドライ路面で行われた。高木は、2ストップ戦略を前提とした量の燃料を搭載し、プラクティスと予選で得られた走行データを元にした最終的なシャーシ・バランスのチェックを行う。が、ここで、またもトラブルが発生。高木のレースカーが、コースイン直後に電装系のトラブルでストップ、残りの時間をスペアカーで走ることになってしまったのである。今回のスペアカーはチームメートのペドロ・デ・ラ・ロサ選手用にセットアップされていたこともあり、高木にとってはまさに万事休すの展開である。
レースは激走に次ぐ激走で大健闘!
高木はレース直前のコースコンディションにセッティングを合わせるため、レーススタートのグリッドに付くために通常より多い3周のコースイン走行を行い、マシンのフィーリングを確認。3日間で最もまとまったセッティングとなったことを確認して、グリッドに着く。ウォームアップ走行から変更すべき改良点は多くは無かったが、なんとかエクストラ・ソフトタイヤでの対応は完了したことになる。スタートは問題なく進行したが、第1、第2コーナーが狭いために、予想通り中段グループで波乱が起きた。第2コーナーでジョーダンのデイモン・ヒル選手がスピンしたために、それを避けるために後続集団が大混乱に陥ったのである。それを予想していた高木は巧みに混乱を避けて、第1周目の最終コーナーでプロストのオリビエ・パニス選手を立ち上がりでかわして15番手で戻って来る。次の周にはミナルディのルカ・バドエル選手をストレートエンドでアウト側から抜いて第1コーナーに進入する。ここで、ザウバーのペドロ・ディニズ選手が、前方でスピンしたために高木は13番手に浮上して、なおも前方を走るミナルディのマーク・ジェネ選手と、ジョーダンのハンス−ハラルド・フレンツェン選手を追走する。1周につきコンマ4秒という速さでジェネ選手を追い上げる高木ではあったが、その差が2秒を切った8周目、高木のマシンの左リヤドライブシャフトのCVジョイントが破損。スロー走行でピットに戻り、痛恨のリタイヤを喫した。
レースは、終始、フェラーリのシューマッハ選手、アーバイン選手がトップを交代し、さらにピットストップ戦略で追いすがるマクラーレンのクルザード選手とハキネン選手を翻弄、クルザード選手のリタイヤ以降は、完全にハキネン選手を引き離して1−2フィニッシュを達成。3位には、翻弄されて疲労しきったハキネン選手が入った。なお、レース後の再車検において、フェラーリの2台のサイドデフレクターのサイズ規定違反で、暫定的に失格となる波乱が発生。一時はハキネン選手の年間チャンピオンが暫定的に決定したが、その後裁定は、FIAの控訴審議委員会で再度審議されることとなり、再度フェラーリとアーバイン選手は暫定的にコンストラクターズ、ドライバーズの両チャンピオンシップをリードして最終戦日本GPに臨むこととなった。また、フェラーリの監督であるジャン・トッドは、この件の責任をとる形で辞任を表明、混乱が続いている。
高木虎之介のコメント
新しいセパン・サーキットでのレースなので、データが無いのはどのチームも一緒とはいえ、トラブルで走行のチャンスが少なく、レースの直前までセッティングが良い方向に向きませんでした。レースでは、マシン的に格が上のプロストやミナルディを追い抜くことができ、今年の僕の目標である速いところを見せる走りが出来たので、その点では満足していますが、やはり完走できないのは残念ですね。次はいよいよ最終戦の日本GPですが、依然として状況は厳しいままですが、今回のように要所要所で速いところを見せることができるように頑張ります。」
次戦F1世界選手権第16戦日本GPは10月30日〜31日、鈴鹿サーキットにて開催されます。
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川井チャンの現地電送F1レポート1999 マレーシアGP篇
レース後に待っていたどんでん返し フェラーリの2台が規定違反で失格
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マレーシアGPは誰も予想できない結果になった。びっくりするようなドラマがレース後に待っていたからだ。エディ・アーバインが優勝、そして彼をアシストしたミハエル・シューマッハーがミカ・ハッキネンを抑え2位入賞という理想的な形でフェラーリはレースを終えたが、レース後の車両検査でマシンが技術規定に適合していないことが判明し、失格となってしまったのだ。
■シャドープレートの10mmの欠落に泣いたフェラーリ
FIAの車検委員が指摘する違反の部分とは、前輪の内側後方にあるディフレクターという空力パーツだ。マシンを下側から見た時にこの部分は、マシンの基準面またはそれより5cm高いステップドフロアと同じ高さになければならないと、レギュレーションで決められている。そのためディフレクターを、水平面から見て湾曲させたりする場合には、一番下側の部分にシャドープレートと呼ばれる隠し板をつけるのが普通だ。フェラーリのディフレクターはモノコックに合わせて、上部が広がり下部が内側に絞り込まれた形状になっている。
ところが、それを下側から見た時に、シャドープレートで全てカバーされているかというと、その一部(10mmほど)が欠落しているため、そうなってなかったのだ。レース後、フェラーリ側もこの事実を認め、彼ら2台の失格が決定した。しかし、フェラーリのテクニカルディレクターであるロス・ブラウンは、故意のレギュレーション違反を否定し、またそれによって得られるアドバンテージがほとんどないことを強調。またこのディフレクターは前回のヨーロッパGPから使われているものであり、マレーシアのレース後の車両検査まで何も指摘を受けなかったと反論、この結果を不服として控訴した。
裁定は今週末の金曜日にパリで開かれるFIA上訴裁判で出る予定だ。つまり、それまではミカ・ハッキネンとマクラーレンが暫定チャンピオンということになる。
■完璧なマシンセッティング、完璧なレース運び
このどんでん返しがなければ、マレーシアGPは非常に戦略的なレースだったと言えよう。M.シューマッハーの復帰で意気上がるフェラーリは、予想どおり持ち込まれた2種類のうちの軟らかいエクストラソフトタイヤを選択し、それに合わせ完璧なまでにマシンを仕上げていった。そして予選でフロントローを独占した。
対するマクラーレンは、エクストラソフトではマシンのバランスがとり難いということで終始硬めのソフトタイヤでセッティングを進めた。結果的にクルサードだけはエクストラソフトをチョイスしたが、どちらのタイヤにせよマシンセッティングが思うように進まず、予選でフェラーリの後塵を拝したというのはマクラーレン陣営、特にハッキネンにとって大きなハンディとなってしまった。
マレーシアGPの舞台であるセパンは比較的追い抜きのしやすいサーキットであるが、マシンのパフォーマンスが大きく前を行くライバルを上回らないとやはりダメであった。スタートをフェラーリ勢に完璧に決められてしまったハッキネンは、前を行くM.シューマッハーに翻弄されてしまったことからも明らかである。M.シューマッハーのブロックは完璧で、追い抜きポイントが多い第1セクターと第3セクターはほぼ全力で走り、高速コーナーが多く後ろのハッキネンが仕掛けづらい第2セクターでペースを落とすという巧妙なものであった。ハッキネン/マクラーレン陣営は業を煮やして2ストップ作戦に変えたが、それでもM.シューマッハーは彼らの前に居座り続けた。
それも、M.シューマッハーは、消耗的にキツイと言われていたエクストラソフトで意外とも思われる1ストップ作戦をやってのけたうえでのブロックである。確かにエクストラソフトは溝がなくなるまで走っても極端にペースが落ちることはなく(マクラーレンのロン・デニス監督は、「タイヤの溝がなくなってはルール違反だろう」とレース後に抗議を出すことを考えていた)、それを見事に読みきった完璧な作戦だったといえよう。
■失格取り消しの可能性は低いが…
話をフェラーリの失格問題に戻そう。フェラーリが控訴の根拠としているのは前出のとおり、「ディフレクターは前回のヨーロッパGPから使われているものであり、マレーシアGPのレース後の車両検査まで何も指摘されていない」というものだ。車両規定違反は発見された時のペナルティが大きいだけに、フェラーリが故意にやったものではないことは明白だが、全てのセッションとレースでルールどおりのマシンを用意して走らせるのは、F1グランプリに参加しているチーム側の義務である。指摘されるまで知らなかったのだから「何をいまさら」という意見は通らないだろう。チーム側も決勝で走らせたマシンがルールに適合していないことを認めている上に、過去このようなケースで結果が覆った前例が少ないだけに、今回もフェラーリの主張は通らないのではないかと思われる。
そうは言え、興行面を考えると不利であり、またハッキネンが「このような形でチャンピオンタイトルは欲しくない」と発言しているだけに、覆る可能性がゼロとは言えないだろう。全ては、今週金曜日のパリで決定する。
優勝決定は日本GPに持ち越し
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【パリ23日】
国際自動車連盟(FIA)は23日、F1シリーズ第15戦のマレーシア・グランプリ(GP)で車両の規定違反により失格となったフェラーリ・チームからの抗議が正当と認められ、国際控訴裁判所の裁定により処分を取り消したと発表した。この裁定により、第15戦でのミカ・ハッキネン(フィンランド、マクラーレン・メルセデス)の2年連続総合優勝は無効となった。フェラーリのエディー・アーバイン(英国)は、有効となった同GPでの1位ポイントを加え、総合ポイントでハッキネンに4点差をつけてトップ。優勝決定は最終戦の日本GP(31日決勝、三重・鈴鹿)に持ち越された。
(AFP 時事通信社)
P | No. | Driver | Car | Lap | GoalTime | km/h |
1 | 4 | E.アーバイン (GBR) | Ferrari | 56 | 1:36'38.494 | |
2 | 3 | M.シューマッハ (GER) | Ferrari | 56 | -1.040 | |
3 | 1 | M.ハッキネン (FIN) | McLaren Mercedes | 56 | -12.743 | 192.576 |
4 | 17 | J.ハーバート (GBR) | Stewart Ford | 56 | - 17.538 | 192.309 |
5 | 16 | R.バリチェッロ (BRA) | Stewart Ford | 56 | - 32.296 | 191.823 |
6 | 8 | HH.フレンツェン(GER) | Jordan Mugen-Honda | 56 | - 34.884 | 191.737 |
7 | 11 | J.アレジ (FRA) | Sauber Petronas | 56 | - 54.408 | 191.098 |
8 | 10 | A.ブルツ (GER) | Benetton Playlife | 56 | - 60.934 | 190.885 |
9 | 21 | M.ヘネ (ESP) | Minardi Ford | 55 | - 1Lap | |
10 | 5 | A.ザナルディ (ITA) | Williams Supertech | 55 | - 1Lap | |
11 | 9 | G.フィジケーラ (ITA) | Benetton Playlife | 52 | - 4Laps | |
DNC | ||||||
22 | J.ビルニューブ (CDN) | BAR Supertech | 48 | - 8Laps | ギヤボックス | |
12 | P.ディニス (BRA) | Sauber Petronas | 44 | - 12Laps | スピンアウト | |
14 | P.デ・ラ・ロサ (ESP) | Arrows | 30 | - 26Laps | エンジン | |
20 | L.バドエル (ITA) | Minardi Ford | 15 | - 41Laps | エンジン | |
2 | D.クルサード (GBR) | McLaren Mercedes | 14 | - 42Laps | エンジン | |
6 | R.シューマッハ (GER) | Williams Supertech | 9 | - 47Laps | スピンアウト | |
15 | 高木 虎之介 (JPN) | Arrows | 7 | - 49Laps | ドライブシャフト | |
23 | R.ツォンタ (BRA) | BAR Supertech | 7 | - 49Laps | スピンアウト | |
18 | O.パニス (FRA) | Prost Peugeot | 7 | - 49Laps | エンジン | |
7 | D.ヒル(GBR) | Jordan Mugen-Honda | 0 | - 56Laps | 接触(フィジケーラ) | |
19 | J.トゥルーリ (ITA) | Prost Peugeot | 0 | - 56Laps | エンジン DNS |
☆ファステストラップ
HH.フレンツェン | 1'40.631 (191.530km/h) | On 53/56 Lap |
☆ラップリーダー
1〜 3 | シューマッハ |
4〜25 | アーバイン |
26〜28 | シューマッハ |
29〜41 | アーバイン |
42〜52 | シューマッハ |
53〜56 | アーバイン |
☆F1世界選手権ポイント
*ドライバーズ部門
1 | アーバイン | 70 |
2 | ハッキネン | 66 |
3 | フレンツェン | 51 |
4 | クルサード | 48 |
5 | M.シューマッハ | 38 |
6 | R.シューマッハ | 33 |
7 | バリチェッロ | 21 |
8 | ハーバート | 15 |
9 | フィジケーラ | 13 |
10 | サロ | 10 |
11 | トゥルーリ | 7 |
11 | ヒル | 7 |
13 | ブルツ | 3 |
14 | ディニス | 3 |
15 | パニス | 2 |
16 | デ・ラ・ロサ | 1 |
16 | ヘネ | 1 |
*コンストラクターズ部門
1 | フェラーリ | 118 |
2 | マクラーレン | 114 |
3 | ジョーダン | 58 |
4 | スチュワート | 36 |
5 | ウイリアムズ | 33 |
6 | ベネトン | 16 |
7 | プロスト | 9 |
8 | ザウバー | 4 |
9 | ミナルディ | 1 |
9 | アロウズ | 1 |